運命を変える一枚の写真、ブラック・パワー・サリュートとは?
それがこのメキシコオリンピック200mの表彰式の写真です。
「オリンピック史上最も有名な写真」とも呼ばれています。
通常は「煌びやかな誇らしい笑顔に溢れた」印象の表彰式ですが、
異様な印象を受けますね。
優勝したトミー・スミスと3位に輝いたジョン・カーロスが、
アメリカ合衆国国歌が流れ星条旗が掲揚される間、壇上で首を垂れ、
黒い手袋をはめた拳を突き上げています。
それは、プラック・パワー・サリュートと呼ばれる、
黒人が拳を高く掲げ黒人差別に抗議する示威行為でした。
2人は黒人の貧困を象徴するため、シューズを履かず黒いソックスを履き、
スミスは黒人のプライドを象徴する黒いスカーフを、カーロスは
白人至上主義団体によるリンチを受けた人々を祈念するため
ロザリオを身につけていました。
また、2位に輝いたピーター・ノーマンは
表彰式で「ブラック・パワー・サリュートをするつもりだ」と2人に
打ち明けられた際に「自分も一緒に闘う」と
2人の意志に同意して、
「人権を求めるオリンピック・プロジェクト」のバッジを胸に
表彰台に立ちました。
オリンピックの場での政治活動は厳禁とされていて、
然るべき罰が与えられるであろう前提で、
「すべての人間は平等である」という信念を示した
勇気ある行動でした。
ピーター・ノーマンのオリンピック後、その生涯については
次のページをチェック!