北極航路遠征隊(フランクリン遠征)謎の失踪の原因は?

キングウィリアム島周囲を進んでいた2隻の船は海面が凍る力によって、

氷に閉じ込められ、移動することができない状態に陥りました。

当時の探検隊によく見られた事故であり、これを乗り越えるためには、

氷が解けるのを待つほかはありません。

3年分もの食料と、浄水器による綺麗な水、暖かい船内、動力の蒸気機関、

越冬の条件は何もかも揃っている船内で、いきなり3人の隊員が命を

落します。

最新設備を備えた申し分ない状況のはずなのに、船員たちが続々と

体調を崩していきます。精神状態まで崩れ、屈強な歴戦の海の男たちが

みるみると異常をきたしていきます。

原因が全く解明できないまま、次から次へと死亡者が増え、

ついに船長のフランクリンまでもが死亡してしまい、死者は24名にも

のぼりました。

1年半後にも氷は溶けることなく、残された105名は船と食料を捨て、

徒歩で脱出を試みます。

何故潤沢な食糧と設備を備えた最新鋭の船を捨てたのでしょうか?

それは、深刻な鉛中毒に原因がありました。

スポンサードリンク

北極航路遠征隊(フランクリン遠征)鉛中毒の原因は?

当時のイギリスで開発された、最新鋭の缶詰。

特許が取られた素晴らしい発明でしたが、食料を任された業者である

ゴールドナーが缶詰を発注したのは、出発の僅か三か月前。

現代的な工場もなかった150年前には数千個の缶詰を短期間で

製造するのは困難であり、雑なハンダ付けで急ピッチで缶詰の

製造が進められたため、ハンダに含まれる鉛がたっぷりと食料に

溶け込んでしまいます・・・。

更に、缶詰業者が悪徳業者であり、探検用の大型缶でもあるにも

関わらず、小型缶程度の煮沸消毒しか行わず、さらに量を水増しするため、

腐った肉、おがくず、小石までもを缶の中にまぜて納入していたのです。

研究によると、死亡した隊員の体からボツリヌス菌の菌株が発見され、

深刻なボツリヌス菌中毒を起こしていたのではないかとまで言われています。

また、綺麗な水を手に入れるために使われた真水供給装置は、

当時の蒸留技術が未熟であったことから、大量の鉛が含まれていたことが

分かっています。

大量の鉛が含まれた水を飲むと、急速に鉛中毒に陥ることになります。

鉛中毒で死ぬことは殆どありませんが、激しい腹痛や、嘔吐、貧血、

高血圧などで体調は壊れ、更に精神的に攻撃的になり、脱力感に

襲われていきます。

結果船を捨てて徒歩ルートを目指した隊員たちは、船上での装備は

最新でしたが、陸路を行くための装備を持ちあわせていませんでした。

結果、129名の乗員全員が命を落とすこととなりました。

発見された沈没船の全貌については次のページでチェック!